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2026年5月27日、iBIアライアンスとしては初めての開催となる「iBI勉強会 ~IBM i DX/モダナイゼーション」が開催されました。株式会社イグアスのセミナー会場とオンラインの2元開催の勉強会で、参加者数は合計で40人を超える盛況でした。講師はクレスコ・ジェイキューブの矢作英幸氏(ストラテジックマーケティングオフィス ITスペシャリスト)が務めました。
前半ではIBM i環境におけるモダナイゼーション、後半では生成AIとソフトウェア開発支援をテーマに、数多くのデモを交えながら実践的な活用方法が紹介されました。冒頭、矢作氏は「今日はセミナーというより勉強会です。どんどん質問していただきたい」と参加者へ呼びかけ、双方向型の進行で講演がスタートしました。
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“全面刷新”だけがモダナイゼーションではない
講演前半では、IBM iにおけるモダナイゼーションの考え方について説明が行われました。矢作氏は、一般的なモダナイゼーションでは、
・5250画面のWeb化
・RPGプログラムのフリーフォーム化
・JavaやPythonなどオープン系言語への移行
・DDSからSQLベースへの移行
といったテーマが語られることが多いと説明しました。
一方で、既存システムを全面的にスクラッチ開発で刷新するアプローチについては、「非常に大きなリスクとコストを伴う」と指摘しました。特に、長年運用されてきたIBM iシステムでは、ドキュメント化されていない業務ロジックや、長期間改修されずに動き続けているプログラムが数多く存在します。そのため、現行調査から要件定義、再開発、テスト、本番移行までには膨大な工数が必要になると語りました。
そのうえで、「まずは既存資産を活かしながら、短期間・低コストで価値を高める“ライトモダナイゼーション”から始めるべき」と説明。全面刷新の前段階として、小さく始めて効果を確認する“スモールスタート”の重要性を強調しました。
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ACS活用で5250画面の操作性を改善
最初のデモでは、ACS(Access Client Solutions)を利用した5250画面の改善例が紹介されました。矢作氏は、「多くの現場では、30年前とほとんど変わらない80桁×24行の画面をそのまま利用している」と指摘。ACSの設定を変更することで、130桁×27行表示への拡張や背景色変更などが可能になると説明しました。業務ごとに背景色を変えることで、利用者が「今どの業務を操作しているのか」を直感的に把握しやすくなり、操作ミス低減にもつながると紹介されました。さらに、DDSのウィンドウ機能やプッシュボタン、スクロールバー、マウスホイール操作などを活用した画面例も披露されました。
特に注目を集めたのは、ACSのホットスポット機能を利用した外部連携です。5250画面上に表示されたURLやファイルパスをクリックするだけで、
・IFS上の画像表示
・Googleマップ表示
・外部Webサイト起動
などを実現するデモが紹介されました。
たとえば、住所情報をクリックするとGoogleマップが開き、地図上で所在地を確認できる仕組みが披露されました。製造業であれば図面表示、流通業であれば商品画像表示など、さまざまな用途への応用が可能であると説明されました。
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PDMからExcel・PDFへワンアクション連携
続いて紹介されたのは、「ワンアクション連携」と呼ばれる仕組みです。これは、5250画面を起点として、WindowsアプリケーションやPDF、Excelなどと連携する仕組みで、既存業務フローを大きく変更せずに利便性を向上させることを目的としています。デモでは、PDM上の物理ファイルに対して「EXCEL」と入力するだけで、IBM i上のデータをExcel形式で出力する機能が紹介されました。
単なるCSV出力ではなく、
・電話番号の先頭ゼロ保持
・テーブル形式への自動整形
・Windows側Excelの自動起動
などが実装されており、実務でそのまま利用できるレベルの完成度が示されました。さらに、スプールファイルに対して「T」を入力するとテキスト表示、「P」を入力するとPDF化を行うデモも披露されました。PDF変換にはIBM i標準機能であるHPT(Host Print Transform)を利用しており、追加ソフトウェアなしで実現できる点が紹介されました。
参加者からはAFP機能に関する質問も出され、矢作氏は「AFPそのものは以前から標準機能として存在しているが、現在はHPTによりPDF化が容易になっている」と説明しました。
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AFPによる帳票出力デモも披露
講演では、AFP機能を利用した帳票出力デモも行われました。デモでは、都道府県別データを抽出し、
・QRコード
・バーコード
・ロゴ画像
・明朝体・ゴシック体フォント
・罫線付きレイアウト
などを含む帳票を生成する様子が紹介されました。生成されたPDFは高解像度で拡大表示にも対応しており、「IBM i標準機能だけでもここまでできる」という点を強調していました。一方で、矢作氏は「より高度なレイアウトやカラー表現が必要な場合は、専用のPDF製品を検討する必要がある」とも述べ、標準機能と専用製品の使い分けについても説明しました。
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Pythonを利用したデータ可視化
後半のモダナイゼーションパートでは、IBM i上で動作するPythonを活用したデータ可視化デモが行われました。
IBM iでは近年、オープンソースソフトウェアの利用環境が整備されており、PythonやNode.jsなどを標準的に利用できるようになっています。デモでは5250画面から条件を入力し、Python経由でグラフを生成する仕組みが紹介されました。都道府県別の登録者数を、
・積み上げ棒グラフ
・日本地図ベースのヒートマップ
・地図上へのマーカー表示
などで可視化する例が披露されました。使用ライブラリにはMatplotlibや地図可視化ライブラリが利用されており、生成されたHTMLグラフはブラウザ上で拡大・縮小やマウスオーバー表示にも対応していました。
また、地図上のマーカーをクリックするとGoogleマップへ連携し、現地情報をさらに確認できる仕組みも紹介されました。矢作氏は、「IBM iはグラフィック機能を持たないと言われることが多いが、Pythonを組み合わせることで現代的な可視化環境を実現できる」と説明しました。
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IBM iサービスによる運用監視
講演では、IBM i Servicesを利用した運用監視についても解説されました。IBM i ServicesはSQLベースでシステム情報を取得できる仕組みで、現在では多数の運用情報をSQL経由で参照可能になっています。
デモでは、
・CPU使用率
・ディスク使用率
・区画ごとの稼働状況
・IPL実施日時
・システム時刻差分
などを複数区画から収集し、統合表示する例が紹介されました。
特に時刻同期については、「複数システム間でデータ同期を行う場合、時刻ズレは重大な問題になり得る」と指摘。SNTPによる時刻同期の重要性についても具体的に解説されました。
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OmniFindによる全文検索
さらに、IBM提供の全文検索エンジン「OmniFind」を活用した文書検索も紹介されました。
IFS上に保存された、
・Word
・Excel
・PDF
・PowerPoint
・スプールファイル
などを横断的に検索できる仕組みで、5250画面およびWebブラウザの双方から利用可能です。検索語を入力すると、該当文書一覧が表示され、対象ファイルをその場で開くこともできます。
矢作氏は、「Lotus Notes時代には当たり前だった全文検索環境を、IBM i上で再構築できる」と説明。Windows標準検索より高速に動作する点も特徴として紹介されました。
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生成AIは“コパイロット”から“エージェント”へ
講演後半では、生成AIを活用したソフトウェア開発支援について解説が行われました。矢作氏は、IBMの「RPG Code Assistant」や「Watsonx Code Assistant」が“コパイロット型”であるのに対し、現在主流となりつつあるのはIBM Bobのような“AIエージェント型”であると説明しました。コパイロット型は、人間がコードを書く際に補助を行う存在ですが、AIエージェント型では、
・要件定義を受け取る
・コードを自動生成する
・テストを実施する
・修正を繰り返す
といった一連の開発作業をAIが自律的に実行します。矢作氏は、「AIが横からアドバイスする時代から、実際に作業を代行する時代へ移行している」と説明しました。
また、Claude Code、GPT Codex、Google Geminiなど、現在登場しているAIエージェント型ツールについても紹介し、「今後のソフトウェア開発のあり方を大きく変える可能性がある」と語りました。
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GitHubと動画で情報公開
講演で使用されたサンプルコードや導入手順、デモ環境はGitHub上で公開されており、YouTube動画による詳細解説も提供されています。矢作氏は、「まずは無料で使える機能から試し、小さな改善を積み重ねることが重要です」と参加者へ呼びかけました。
今回の勉強会では、IBM i環境を全面刷新するのではなく、“今ある資産を活かしながら価値を高める”という現実的なモダナイゼーションの方向性が、多数のデモを通じて具体的に示されました。また、生成AIによる開発支援についても、単なるコード補完を超えた“AIエージェント時代”の到来が印象づけられる内容となりました。
iBIアライアンスでは今後も、メンバー企業を対象に、スキルアップや知識向上をテーマに勉強会やセミナーを開催していきます。7月15日(水)には、「AI勉強会 第1回 IBM i × IBM Bob ハンズオンセミナー」を開催する予定です。




