iBIアライアンス「AI勉強会」第1回では、日本IBMの茂木映典様(テクノロジー事業本部 Power & Cloud事業部)による講演に続き、IBM Bobを使ったハンズオンが行われました。
今回のハンズオンで題材となったのは、事前に用意されたRPGプログラム「IPH110(得意先照会)」です。参加者はこのプログラムをIBM Bobに読み込ませ、実際のIBM iにおける保守・改修業務を想定しながら、「ソースの解析」「仕様書の作成」「ソース修正」「コードレビュー」「テストケース作成」「ドキュメント更新」という6つのステップに取り組みました。

RPGプログラムの解析からスタート
最初のステップは「ソースの解析」です。
IBM Bobを使ってRPGプログラム全体を解析し、処理の概要や使用しているファイル、プログラムの呼び出し関係などを確認しました。
また、単に解析結果を見るだけではなく、モードやプロンプトを変えることでIBM Bobの回答がどのように変化するかも確認。求める回答を得るためにはAIにどのような指示を与えればよいのか、実際に試しながら理解を深めました。

続く「仕様書の作成」では、既存のRPGプログラムをもとに仕様を整理し、IBM Bobを使って仕様書や処理一覧を生成。さらに、それらをMarkdown形式で出力するところまでを体験しました。
既存プログラムの内容を読み解くだけでなく、解析した情報をドキュメントとして整理する作業にもAIを活用できることを確認しました。
AIにソースコードの修正を依頼
3つ目のステップでは、さらに踏み込んで「ソース修正」にチャレンジしました。
参加者はIBM Bobに具体的な修正内容を指示し、その指示をもとに生成されたソースコードを確認。修正前後の差分をチェックするとともに、コメントの生成なども体験しました。
ハンズオン資料では、エラー処理やキー操作・画面遷移、計算ロジック、入出力項目など、実際の保守業務を想定したさまざまな改修例が提示されました。
たとえば、「CHAINでデータが見つからなかった場合の戻り方」や「消費税10%を加味した差額の計算」といった具体的な変更をIBM Bobに依頼します。
こうした実務に近い課題を通じて、開発者が自然言語で修正内容を伝え、それをもとにAIがコードの変更を支援するという、IBM iの保守・改修業務におけるAI活用の可能性を体験しました。

AIの回答を「そのまま採用しない」ことも重要
ソース修正に続いて取り組んだのが「コードレビュー」です。
IBM Bobにコードレビューを依頼し、改善提案や注意点を確認するとともに、AIが作成したソースコードと回答用に用意されたソースコードを比較・検証しました。
また、「セキュリティ」や「例外処理」といった観点を指定してレビューを依頼するなど、プロンプトによってAIのレビューの視点を変える試みも行われました。
ここで重要なポイントとして示されたのが、AIから得られた回答をそのまま採用するのではなく、開発者自身が内容を確認することです。
AIが生成したコードや提案が、本当に意図した仕様になっているのか。既存のソースコードや業務要件と照らし合わせて問題がないか。最終的には人が確認し、判断する必要があります。
AIにすべてを任せるのではなく、AIの力を借りながら、開発者自身が結果を検証して活用する――。生成AIを開発・保守業務に取り入れるうえで欠かせない基本姿勢についても、今回のハンズオンを通して共有されました。

テストケース作成、ドキュメント更新にもAIを活用
ハンズオン後半では、「テストケース作成」にもIBM Bobを活用しました。
改修内容をもとにテスト項目やテスト観点を整理するだけでなく、テストデータを作成するためのSQL生成にもチャレンジ。さらに、改修した内容に応じたテスト仕様書をIBM Bobで作成するなど、品質確認の工程におけるAI活用を体験しました。

そして最後のステップが「ドキュメント更新」です。
プログラムの修正内容を既存の仕様書へ反映し、変更内容や更新履歴を整理。プログラムを変更して終わるのではなく、その後の保守に必要となるドキュメントの更新にもIBM Bobを活用しました。
今回のハンズオンでは、RPGソースコードの解析から始まり、仕様書の作成、プログラム改修、コードレビュー、テスト、そして改修後のドキュメント更新まで、IBM iの開発・保守における一連の工程をIBM Bobとともに進めました。
個々の作業をAIで効率化するだけでなく、開発・保守のライフサイクル全体の中でAIをどのように活用できるのか。参加者にとって、その具体的なイメージをつかむ機会となるハンズオンでした。





